[41] 別 れ

ペット探偵物語 ~僕の76日間迷子猫捜索活動記録~


最後のポスティングが無事に終了し、
「さあ、帰るべや!」っていうときになって、

僕は、ふと
ポン太に会いたくなった。

この地域で、
一等仲良しになった野良猫ポン太

すっかりめげてるときも、
人懐っこい笑顔(?)で目一杯癒してくれた。

「やっぱ、あいつにもお礼を言わなきゃなあ~」

(最後は彼のおかげで保護できたようなもんだし)

「はたして、いるかな?」

ということで、

たぶんこの辺にいるだろうと
見当をつけた場所に行ってみると、

・・・・いたいた!

鼻の頭にプチ模様のポン太を、
あっさり発見!

「よっ、ポン太そこにいたのか?」
「ほら何やってんだ。こっちにおいで!」

そう声をかけると僕は、
いつものように腰をかがめて
ポン太が駆け寄ってくるのを待った。

「・・・・」

ところがその日の彼は、
なぜかぜんぜん近寄ってこようとはしない。

「・・・・?」

今まではどんなに遠くにいても
僕を見かけると飛んで走ってきてたくせに。

「ん、ポン太、どうかしたのか?」

しかし何度呼びかけてみても、
いっこうに近寄ってくる気配がないので、

その日は
それ以上近づくのを断念した。

ちょっと残念だったが、
ポン太がそうしたいのなら仕方ない。

きっと今までとは違う
別の雰囲気みたいなものを感じたのだろう。

「わかったよ、ポン太。」

「じゃあ、元気でな!」

「これから寒くなるけど、
頑張って野良猫やるんだぞ!」

「また機会があったら会おうな! 」

「そんときは頼んだぜ!!」

僕は、ゆっくりと立ち上がって

何度も振り返りながら、
ポン太のいる方向を背に歩きだした。

(グッバイ、優しい僕の相棒!)

さあ、
いろんなことがあったけど、

いよいよこの街とも
お別れのときが来たようだ。 

みなさん、長いこと
お騒がせして申し訳ありませんでした。

そして本当に
ありがとうございました。

僕は、別れを惜しむように
ゆっくりと長い坂を登っていく。

なんかほんとに、
あっと言う間の出来事だったな。

「・・・・」

複雑な気持ちで見上げると、
坂の上で嫁さんが待ってた。

「これで終わった。さあ、帰ろう。」

 「もういいの?」

「ああ、大丈夫だ。」

「ポン太にはちゃんと言ったから。」


そう言って、
並んで歩きはじめたとき、

たぶん側溝の蓋と蓋の隙間からだろう、


すっかり深まってきた秋の
なんとも心地よい風に乗って、


うしろからかすかに
 

「ニャー」という鳴き声が



・・・・聞こえた気がした。


 
《次のページへ》

コメント

非公開コメント

プロフィール

ミラクル銀河伝説

Author:ミラクル銀河伝説
福岡市早良区在住のギター弾きです。人前で演奏するのが好きですが、自分の演奏だけはお客さんが集まらないので、地元の実力派ミュージシャンにご協力戴いてイベントを主催しています。出演希望の方は奮ってご応募ください。/参加費無料(ギャラも無ごめんなさい)
[アドレス]mail@gingamusic.com

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

アクセスカウンター