[38] 眠 り

ペット探偵物語 ~僕の76日間迷子猫捜索活動記録~


通報者のお宅を離れてすぐに、
幹線道路へ続く路地へと入った。

ふと見上げると、

ベランダで見覚えのある女性が
洗濯物を取り込んでいた。

それは自力捜索を開始した直後に
「この猫が豆腐屋の前で死んでたよ!」と
教えてくれたあのおばあちゃんだった。
( [09] 衝 撃 )

僕はクルマから降りて、
「おばあちゃーーーん!」と呼びかけた。

すると彼女は、
しばらく目を凝らしたあとに

「あー、あの猫のお方かい?」
(うれしいなー覚えてくれてたんだ♪)

「おかげさまで、やっと猫が見つかりました~~!」

「え~~、そうかい、そりゃよかったさぁ~~。」
「はい、ありがとうございます。」

「で、猫ちゃんはどこにいたのかい?」

「はい、おばあちゃんちの裏です!」

「ありまー、そんなとこにいたのかい?」
「全然気づかなかったよぉ。」

今となっては笑い話でしかないが、

もし発見・捕獲したポイントに
あやつがずっと潜んでいたとしたら、

僕はこれまで
そのギリギリ直前のところを
捜しまわっていたことになる。

したがって、初期の段階で、
もう1区画だけ南へ踏み込んでいたら、

こんなにも捜索が
長期化することはなかっただろう。

いやはやなんというか、
これは、いかにも僕らしい結末だ。

あと少しというところで見切りをつけて、
事態が好転しないことにイライラする。

きっと天から見ている神様は

「あ~、ほんとじれってーな!」
「なんでそこでやめるのよ?」

と、やきもきしてたかな?

あるいは、人生なんて、
こんなことの連続なのかもしれない。

いや、今回の出来事は、
そう感じずにはいられないものだったし、

そういった意味でも
ホント、いろいろ勉強になった。

「ええ、びっくりでした。」
「どうもありがとうございました!」

おばあちゃんにお礼を述べて、
僕は車に乗り込んだ。

保護した直後は
あんなに興奮&威嚇してあやつも、

見覚えのある車内や
懐かしい匂いを思い出したのか、

すっかり落ち着きを取り戻し、

ときおりニャーニャー鳴いて
何か訴えかけている。

そこで僕が「よし、よし」と言って
金網の間から指を入れてやると、

あやつは頭や顎をすりよせて
ゴロゴロ甘え始め、

そしてしばらくすると、
軽い寝息をたてて眠りについた。

「よしよし、もう大丈夫だからな。」
「そのまましばらく寝てろ。」

そう言うと僕は、

心にジワーっとこみ上げてくる
嬉しさをかみしめながら


西へとクルマを走らせた。



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ミラクル銀河伝説

Author:ミラクル銀河伝説
福岡市早良区在住のギター弾きです。人前で演奏するのが好きですが、自分の演奏だけはお客さんが集まらないので、地元の実力派ミュージシャンにご協力戴いてイベントを主催しています。出演希望の方は奮ってご応募ください。/参加費無料(ギャラも無ごめんなさい)
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