[37] 祈 り

ペット探偵物語 ~僕の76日間迷子猫捜索活動記録~


呼び鈴を鳴らすと、
おばちゃんはあたふたと出てきて、

「どうだった?捕まった?」

「はい、おかげさまで無事に保護できました。」
「どうもありがとうございました。」

「えっ、捕まったの~~っ?」
「ああ~~っ、ほんとによかった~~あ!」

と言ったあと、

感極まったのか、
おいおい声をあげて泣き出した。

「・・・・・」

(↑まさか泣き出すとは思わなかったので、
  僕はちょっと戸惑ってる。)

そんでもっておばちゃんは、
捕獲器の中でオロオロしてるあやつを見ると、

「あんたよかったねー。ほうら飼い主さんだよ。」
「もう逃げたりしちゃダメよ!」って、

まだ、ボロボロ泣いている。

「2ヶ月半の間よく頑張ったね~。」
「でも、もう大丈夫だよ~。」

「・・・・・」

そんな彼女の姿を見て、

「ああ、ほんとに優しい人なんだな~」と、
素朴にそう思ったのだが、

ふと見ると、 おばちゃんの右手には、
僕のチラシが 小さく折り畳んであって、

「・・・・?」

なんでも彼女は、
僕が裏庭で捕獲作業をしてる間、

このチラシを幾重にも折り畳み、

両方の掌に挟んで、


仏壇に向かって


ず~~~~~~っと、



・・・・祈ってくれてたらしい。



「捕まりますように。
 無事に猫ちゃんが捕まりますように・・・」


「・・・・?!」


(えっ、ほんとに?)
(おばちゃん、そんなことやってたの?)


「・・・・!」


「・・・・!!!」


そのときだった、

なぜだかそしていつからか、

僕の心に棲みついてたクール・マインドが

(実を言うと)

思わぬ形で訪れた衝撃に
ガラガラと音をたてて崩れ、

(あなたが祈ってくれてた間って、)

それまでの
不思議な冷静さから一転して、

(僕はただ、)

一気に、

(コーヒー飲んでただけなんだけど?)


ググッと熱いものがこみ上げてきた!!


「・・・・!!!」


おばちゃんっ、ありがとう!

僕の駄猫のために
そんなことしなくてもよかったのに。

なんか心配かけたみたいで、
すごい申し訳ないです。


ホントに・・・・ホントにありがとう。


とまあ、こんな感じで
僕も思わずもらい泣きしそうになったけど、

そこはやっぱり九州男児、
ググッとこらえて、

「本日はありがとうございました。」
「また後日、お礼を兼ねてご挨拶に伺います。」

と丁寧に礼を述べ、

あやつが入った捕獲機を乗っけて、
クルマのエンジンをかけた。

「おっと、もうこんな時間か?」
「いつまでもゆっくりはできないな~。」

さあ、これから忙しくなるぞっ!!

そう自分に言い聞かせて、
何気にルームミラーを覗く。

すると玄関先には、
まだあのおばちゃんが立ってて、

鏡の中の彼女は、
クルマに向かって何度も、

ホントに
何度も、何度もお辞儀をしてる。


「・・・・!」


おばちゃん、
それはちょっと違うと思う。

誰が考えても、

ここで「ありがとう」を言わなきゃなんないのは


・・・・ 僕 の 方 な ん だ け ど ?  



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ミラクル銀河伝説

Author:ミラクル銀河伝説
福岡市早良区在住のギター弾きです。人前で演奏するのが好きですが、自分の演奏だけはお客さんが集まらないので、地元の実力派ミュージシャンにご協力戴いてイベントを主催しています。出演希望の方は奮ってご応募ください。/参加費無料(ギャラも無ごめんなさい)
[アドレス]mail@gingamusic.com

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