[35] 保 護

ペット探偵物語 ~僕の76日間迷子猫捜索活動記録~


ゆっくりと
ターゲットの視界に入り、

15メートルほどの距離をとって
僕は腰を下ろした。

しばらくの間、
あやつとの睨み合いが続く。

駐車場の一角で
向かい合うひとりと一匹。

幸いにもその時間帯は、
あたりに人かげはなく、

周囲の雑音もほとんど届かない。

(これはラッキーだった!)

そんな中で、僕はときどき
あやつの名前を呼んでやるが、

それに対しても
特にこれといった反応はなく、

どうやら僕のターゲットは、
目の前にいるのが
飼い主だとは気付いていないようだ。

(もう忘れてしまったか?)

そんな膠着状態が
15分くらい続いただろうか?

(あるいはもっと長かったかもしれない)

やがてあやつは、
「ニャー」とひと声鳴いて、

植え込みの中へ姿を消した。

それは特に慌てた様子もない、
ごくごく自然なにゃんこの動きだった。

しかし僕は、
そのあとを追ったりはしない。

「絶対に追いかけてはならない」と、
探偵さんに教えられていたし、

それでなくとも、

最初に逃がしたときに
嫌というほど思い知らされていた。

(あの二の舞はこりごりだ。)

やがて植え込みの裏から
軒下に入るのを見届てから、

もう一度周囲の状況を確認する。

やはり、人かげはないし、
他の猫も見当たらない。

よしっ、決まりだ!

これなら確実に、
あやつを保護することができるっ!

(まわりに1匹でも猫がいたら
どうなったかわからなかった)

「そんじゃ、そろそろいくか?」

そう言うと僕は、
クルマに戻って捕獲器を取り出した。

こいつを使うのも10日ぶりだ。

「さあ、いよいよ出番だっ!」
「しっかり頼むぜ!!」

前にも書いたが、これまで僕は、
ジャックやブラック、ビッグママを相手に、
捕獲器の練習を散々繰り返してきた。

ブラック×5回、ジャック×4回、
ビッグママ×3回の捕獲歴は我ながら大したモンだ。

(向こうから飛び込んできただけだが)

そう、あの大物野良たちにくらべれば、
僕の駄猫なんてちょろいもんさ。

・・・・ふん!

だからあたりを見回せば、
仕掛けるポイントだってすぐに決められたし、

迷いなんて、まったくなかった。

(すぐにでも探偵開業ができると思う)


こんな具合に
テキパキと仕掛けを済ませると

熱い缶コーヒーで
喉を潤しながら

捕獲器から
40メートルほど離れたポイントに腰かけ、

ときおり双眼鏡を覗いて、
その時を待つ。

するとものの10分もしないうちに、
餌の匂いにつられたのか、
あやつがノコノコ出てきて、

よっぽど腹が空いてたのだろう、
まず外餌にバリバリ食い付いた。

「よし、来た!」

そしてそののちに
内餌めがけて捕獲器の中に入ると、


ガチャン!と扉がしまって、

あっけなく、


・・・・捕獲作業が完了した。



《次のページへ》
 

コメント

非公開コメント

プロフィール

ミラクル銀河伝説

Author:ミラクル銀河伝説
福岡市早良区在住のギター弾きです。人前で演奏するのが好きですが、自分の演奏だけはお客さんが集まらないので、地元の実力派ミュージシャンにご協力戴いてイベントを主催しています。出演希望の方は奮ってご応募ください。/参加費無料(ギャラも無ごめんなさい)
[アドレス]mail@gingamusic.com

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

アクセスカウンター