[34] 前 進


ペット探偵物語 ~僕の76日間迷子猫捜索活動記録~



双眼鏡の中で
あやつは沈みかけた日の光をあびながら

体表がすっかり汚れてるのか
毛の色が幾分くすんで見えたが、

ともあれ両方の目をすぼめて、
呑気に佇んでいる。

・・・・おい、おまい。

久しぶりにお目にかかれて、
まっこと光栄です!

ところで1つ聞きたいのだが、

人の苦労も知らないで
チミはなにそんなところで

・・・・ひなたぼっこしてんだ?

(実際に見て、自分のにゃんこだと一発でわかりました。)

隣では通報者のおばちゃんが

「えっ、やっぱりあの猫?」
「やだあ~、逃げたらどうしよう!」

とハラハラしている。

でも不思議なことに、
そのときの僕は

自分でもびっくりするくらい
冷静だった。

(家電販売店の餌場のときと同じだ)
 
だって、発見したときのシミュレーションは
探偵さん相手に何度も繰り返してきたし、

犬と違って猫の場合は、
居場所さえわかってしまえば

あとは時間の問題だと
探偵さんに教わっていたから。

「おばちゃん、ありがとう。」
「でも、もう大丈夫です。」

「身体が冷えるから中で待っててください。」
「捕まえたら、まっさきに見せに行きます。」

おばちゃんは不安そうに
「そう? じゃあ頑張ってね」と言い残して
自宅に入っていった。

さて、これからどうするべや?
とあれこれ考えたが、

とりあえずは、嫁さんに報告。

「えっ、ほんと?見つかったの?」
「絶対、絶対捕まえてよ!」
 
次に探偵さんにも電話をする。

「そうですか、ついに見つかりましたか。」

「あと少しですね。」
「ミラクルさんなら大丈夫ですよ!」

「頑張ります。」
「またあとで電話しますね。」

そう言って僕は、
携帯の電源を切ると、
(途中で呼び出し音がなったら台無しだ)

祈るように、天を仰いだ。

見上げた先では
暮れかかった空をゆっくりと雲が流れていた。
(ああ~、今日はほんとに良い天気だ。)

目を閉じると、
秋の風が優しく頬を撫でていくのを感じる。

ここまでくるのに
ずいぶんと時間がかかったけど、

どうやらそれもあと少しのようだ。

「よしっ!そろそろ行こうか!」


そうつぶやいて、
視線を元に戻すと、


僕は意を決したように


・・・・歩 き だ し た !

 

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ミラクル銀河伝説

Author:ミラクル銀河伝説
福岡市早良区在住のギター弾きです。人前で演奏するのが好きですが、自分の演奏だけはお客さんが集まらないので、地元の実力派ミュージシャンにご協力戴いてイベントを主催しています。出演希望の方は奮ってご応募ください。/参加費無料(ギャラも無ごめんなさい)
[アドレス]mail@gingamusic.com

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