[28] 冷 静


ペット探偵物語 ~僕の76日間迷子猫捜索活動記録~


翌日、問題の家電販売店に
朝4時半に到着し、

しばらく待機したあとで
やっと噂の猫おばちゃんに会うことができた。

最初はすごく警戒していた彼女も
捜索チラシを差し出して事情を話すと、

安堵したのか
いろいろと話をしてくれた。

なんでもここに店舗ができてから
丸5年間、

毎日欠かさず野良たちに
餌を与えているのだという。

夜明け前に餌を撒き
日が昇る頃に残飯を清掃して帰るのが日課で、
(昨日はたまたま夜まで残しておいたそうだが)

今日も餌を数箇所に撒きながら
(その量は軽くキャットフード3袋分くらいはあるだろう)

「チラシは保管してあるから、見かけたら電話するよ」と言い残して、

おばちゃんは、
次の餌場へとクルマを走らせた。
(どうも餌場は数箇所あるらしい)

そのあと僕は
双眼鏡を覗きながら

彼女がこしらえた餌の山から
少し離れたところで待機した。

やがてにおいを嗅ぎつけて
野良たちが続々と集まってくる。

もしかしたらこの中に
あやつが紛れ込んでいるかもしれないっ!!

そう考えると
否が応でも期待は大きく膨らむのだが、

ただなにしろ
集まってくる猫の数が半端じゃない。

「な、な、なんだ? こりゃ?」
「いや、こいつは凄い数だぞ!」

ピーク時には駐車場に
25~30匹の野良猫たちが大集結して、

あっちでボリボリこっちでボリボリと
旨そうに餌をほおばっている。

野良のくせにみんなふっくらとしていて
栄養状態が良好なのは一目瞭然だ。

中にはおなかの大きな雌猫も10匹近くいて
やがて生まれてくる子猫が成長したら、
当然そのあとも・・・・。

そうやって広がる目の前の光景は
猫好きの僕にも異様なものに映った。

「う~ん、どうなんだろ?」

「これって、なんかおかしくないか?」

これは彼女と住民さんの問題だから
僕が横からとやかく言う筋合いではないし、

「おまいだってポン太に餌やってんじゃねーか?」
と言われたら何も反論できないのだけど、

個人的な見解としては、
彼女がやっていることには

到底、賛同できない。

なぜならそれが
中途半端な善意に思えるからだ。

もし彼女が、
今後も餌を与え続けたいのなら

いったん野良たちを全部保護して、
きちんと避妊処置をすべきだと思う。

もちろんそこまでやるとなると
かかる手間も金も結構なものになる。

要は「そこまでやる覚悟があるのか?」
ということだ。

そうでなければ、
野良たちに餌を与えてはならない。

とは言っても、

とにかく今回この情況を
自分の目で確認できたのはよかった。

なにしろこれで僕は
「ここにはあやつはいない!」と直感し、
見切りをつけることができたからだ。

前にも書いたとおりうちのにゃんこは
世界一臆病なひきこもり猫で、

そいつがこれだけ大集結した
にゃんこ軍団に入り込むなんてことは
絶対にあり得ない。

まあ、それでも「一応、念のために」と
そのあと何度かこの餌場にはチェックを入れたが、

そのときだって僕は
なんだか妙に冷静な気持ちでいられた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※実はこの頃から僕は、
心に妙な余裕がでてきたのか、

迷子猫の捜索に関しては、
至極冷静に反応するようになっていた。

※それはあきらかに
捜索を開始した頃とは違ってて、

自分でもここまで冷静沈着になるとは
思っていなかった。

 
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ミラクル銀河伝説

Author:ミラクル銀河伝説
福岡市早良区在住のギター弾きです。人前で演奏するのが好きですが、自分の演奏だけはお客さんが集まらないので、地元の実力派ミュージシャンにご協力戴いてイベントを主催しています。出演希望の方は奮ってご応募ください。/参加費無料(ギャラも無ごめんなさい)
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