[08] 号 泣

ペット探偵物語 ~僕の76日間迷子猫捜索活動記録~


探偵さんが帰ってしまって、
再び我が家は、

・・・・深い闇に包まれた。

うちのにゃんこなんて、
大人の10分の1にも満たない大きさなのに、

そいつがいなくなっただけで、
えらい大きな穴が空いた気持ちになる。

すっかり気落ちしてしまってる僕を
嫁さんは

「大丈夫だよ。きっと誰かに拾われて
幸せに暮らしているよ。」となぐさめてくれた。

さすがの僕も
今回は自分が情けなくてしかたない。

そもそも車で運ぶときは、
猫をキャリーケースから出してはいけなかったのだ。

どんなに窮屈でも
あるいどんなに遠距離でも、

「狭くて可哀想」などと思ってはいけない。

今回、それを嫌というほど思い知らされた僕は、

あやつがいなくなった後、
すぐにキャリーケースを購入した。

そしてその中には
あやつが大好きな僕の肌着を敷いてやった。

もちろんそれも、
肝心のあやつがいなけりゃ

・・・・何の意味もないっ!
 
「なんでおまいは、ここにいないんだ?」

そうやって見渡す我が家には、
電灯に鎖のつり紐がさがってて、

そういえばあやつは、その紐のアクセサリーを
書棚の上からじーっと眺めるのが好きで、

そいつを眺めている間は
ほとんど微動だにしないという

不思議な習性(?)を持ったやつだった。

そのことを思い出して、
嫁さんに「そうだったよね?」みたいに話したとき、

「そんな悲しいこと言わないでよ~~~!」
と急に彼女は泣き出した。

それまでじっと辛抱して、
気丈に振る舞っていたのだろう。

それが僕のひとことで
堰を切ったように流れ出して、

嫁さんはおいおい泣き崩れてしまった。

「なんであのとき、ドアをすばやく閉めなかったの?」
「あんたがもっと注意してれば、こんなことにならなかったのよ!」 

僕の胸をドンドン叩きながら
彼女はずっと声をあげて泣いている。

「あの子に何かあったら、あんたいったいどうするのよ!」

「・・・・・・」
 
しばらく僕は言われるままにしていたが、
ついに堪えきれなくなり、

「・・・・・・!!」

すぐさま押入れからリュックを取り出して、

その中に探偵さんから引き継いだ地図とチラシ、
ポスター、ドライフードおよびガムテープ、
懐中電灯などを放り込むと、

一気にマンションの駐車場に駆け下りて、

そのまま夜の都市高速を東へと走った。
 
「・・・・・・・っ!!!」

対向車のライトが次々に後方へ流れていく中、
目的地に到着するまで僕はずっと叫び続けている。

「てめ~、ほんといい加減にしろよな?」

「いいか、かならず見つけ出してやるからな!」

僕が迎えに行くまで、 

じっと、


・・・・ そ こ で 待 っ て ろ よ !  


《次のページへ》


 

コメント

非公開コメント

プロフィール

ミラクル銀河伝説

Author:ミラクル銀河伝説
福岡市早良区在住のギター弾きです。人前で演奏するのが好きですが、自分の演奏だけはお客さんが集まらないので、地元の実力派ミュージシャンにご協力戴いてイベントを主催しています。出演希望の方は奮ってご応募ください。/参加費無料(ギャラも無ごめんなさい)
[アドレス]mail@gingamusic.com

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

アクセスカウンター